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08/12/06 Information

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カナディアン=パシフィック汽船の1926年版客船パンフ。中面約50Pのほとんどが船内写真。

■何ともはや。今年も12月に入ってしまったとは。このご案内の更新も、今日のが終わると年内はあと3回、店の営業日も10日を切りました。来週はいつも通り火・木・土曜日の各日12時~20時で営業いたしますが、12/16・再来週の火曜日は市場のため店はお休みをいただきます。その後は通常に戻って27日(土)まで営業の予定です。年内最後まで、よろしくお付き合いのほどお願いいたします。 新着品、先ずはカナディアン=パシフィック汽船の客船「エンブレス・オブ・カナダ」「エンブレス・オブ・ロシア」「エンブレス・オブ・アジア」三隻を紹介するパンフレットで1926年の発行。この当時の客船案内類は、いきおい豪華で立派なものになるために残存もし易い就航前のパンフレット類が目につくせいか、外観から内装まで完成予想のイラストで紹介されたものが多いなか、今回のこの一冊は既に就航していた客船の案内なので中面約50Pのほとんどが写真、従って実際の内装がよく分かるというところに手柄があります。船名に因んで三隻夫々に異なり、いずれも細部にまで意匠の凝らされた船内は、一等食堂から客室、書斎室、子供部屋まで、イラストで見るより実際の方が遥かに豪華だったのではないかと思わず見入ってしまいます。表紙には「Canadian Pacific Steamship」、つまり「蒸気船」とあり、1920年代半ばにあってこの点でも珍しい…のかと思いきや。改めて調べると“蒸気機関を用いて”プロペラ等による動力を得ているのが蒸気船で、広義には原子力船なんてものまでいってみれば蒸気船であり、蒸気客船としては日本のピースボートのチャーター船として知られた(…知らなかった)「ザ・トパーズ」号が奇しくも今年4月まで現役だったのが世界最後…とは今回初めて知った事実。これまで客船関係の印刷物を散々扱っておきながら、実に恥ずかしいことに。あと何年あっても知識は一向追い付かないというのに、一年のこの短さをどうすればいいのかと思う12月初めの新着品です。

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『モダン・ダンス』7冊は、日中戦争勃発で時局に揺れる昭和12年前後の発行分。植民地ダンス・ホールのデータも。

■続いて戦前のダンス関係雑誌の落札品一口から、画像は『モダン・ダンス』。新入荷は同誌だけでも7冊、昭和12年前後の発行分。タイトルや永田一脩による表紙のデザインから当時の前衛舞踊関係かと思えば、これが大衆娯楽としてのダンスを中心に扱ったもの。それだけに広告の多さが目につくのですが、中国のダンス・ホール広告多数あり、しかも内装・外観の写真なども散見される点では広告も軽視できないものとなっています(ちなみに昭和12年1月号に掲載されている「全国舞踏場一覧」を見ると、全85軒の内、37軒が現台湾・中国にあったホールのデータ)。昭和12年といえば日中戦争勃発で「時局」という娯楽にとっては厄介な状況が出来した年。記事には京都のダンス・ホール会社社長が自ら、“我が国情に適せないもののあることを痛感”してホール閉鎖を名乗り出たことに対して、実は不況によるものではないかといって不快感を表すものや、“国民的自覚による舞踏日本確立の信念を喚起すべき”と叫ぶ論調がある一方で、“全ダンサーがジャケツを編んで海軍省へ”や“全ダンサーがネルを持って出征兵士家庭訪問”といった解説付きの写真あり、で、大衆文化が時局に翻弄される様が生々しく記録されています。もちろん、当時最新の振付研究やステップ図解、ジャズやダンゴといった流行の海外情報、ハリウッドミュージカル映画の紹介やスターのグラビアなど、舞踊・音楽の情報が中心となっていますが、この雑誌に関していえば、時局と大衆娯楽・文化、或いは植民地関係資料としての見方に耐え得るものと思われます。この他、同年代の『ダンスと音楽』5冊 (ジャズ、レビュー情報から「踊る国枝史郎先生」の写真まで。時局に対応してダンスのスポーツ化を提唱)、中村弘高主宰雑誌『タップ』2冊 (タップとレビュー関連情報) 他16冊が一括で、また、エディトリアル・デザインや写真がいかにも1960年代な旅行専門洋雑誌『HOLYDAY』12冊、アール・ヌーヴォーおよびアール・デコを中心にファッション、デザイン関係の洋書15冊、そしてまたしても古本屋としてはいかがなものかと思われるアイテム-蓋がスポイトになっている古い薬ビンや古い医療道具、顕微鏡など-が今週の新着品となります。建築関係書を中心にまだ入力しきれていない「雑書目録」分も50冊ほど。年末までに少しずつでも片付けていきたいと思いますので、こちらもご高覧いただければ幸いです。

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