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08/11/14 Information

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ドイツ「J.W.ZANDERS」社のカード、レターヘッド用紙と封筒の見本集『HANDMADE STATIONERY』。現物貼り込み約90点 !

■火曜日深夜、HPリニューアルに関する打合せで喋りまくりの長電話を切ると、途端に全く声が出なくなりました。熱なし、どころか喉の腫れや咳もほとんどなし。少し鼻水が出る程度…だったのですがすみません、大事をとって今週木曜日は臨時休業いたしました。この日にお訪ね下さったお客様には心よりお詫び申し上げる次第です。二日間寝倒したお陰で声も少しずつ戻ってまいりました。明日・土曜日は通常の12時~20時で営業の予定、また、来週も店は火・木・土曜日の各日12時~20時で営業する予定ですが、念のため、お出掛け前にお電話で在席をご確認いただければ確実です。ご面倒をおかけいたしまして恐縮に存じますが、何卒よろしくお願いいたします。 今週はいつもの金曜日の市場はお休み。といっても市場はそれのみに非ず新着品は今週も。先ずは軽いところから。『HANDMADE STATIONERY』と題されているのは、ドイツはベルギッヒ・クラヂバッハにある「J.W.ZANDERS」社のカード、レターヘッド用紙と封筒の見本集。同社製品を独占販売していたオランダの「CYRCAMO TRADING」社が、おそらく戦前に発行したものと思われます。カード、レターヘッドと封筒といっても、いまやほとんど見られない不思議なサイズのものや紙質違いなど非常に多彩に用意されており、当冊子に貼り込まれているものだけで約90点。耳付きや透かし入りなど、いずれも高級品と見て間違いなさそうです。見本の一点一点全てにに刷り込まれたマークは印刷工の小父さんの図。といったところで見本集ですからねぇ。「何のために買うの?」と聞かれると……確かによく分からない。ですが、紙モノ好きにとっては捨ておけない一冊ではあります。ちなみに「J.W.ZANDERS」を調べてみると、いまもファインペーパー製造業者としてベルギッヒ・クラヂバッハに健在。デジタルの時代になっても、というかだからこそ、こうした個人向けの贅沢な紙モノはこれからも是非生き残っていただきたいものです。

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ベドジフ・フォイエルシュタインの舞台装置写真を収めた『舞台建築 建築家ファイアースタイン』(昭和2年発行)にはチャペックの「ロボット」の舞台装置写真も。

■さて、次は勘定流の表紙が大迫力の『舞台建築 建築家ファイアースタイン』。岡田忠一を編集・発行人として昭和2年に発行されたA4・22Pの冊子です。建築家ファイアースタイン氏とは何者か。検察してもそれらしい人は出てきません。扉にある岡田による序文を読むと、今度はベドリッヒ・ファーレンスタインと表記されています。こちらで検索すると一件もなし。ならば、表紙に記載されている「BEDRICH FEUERSTEIN」で検察してみると…やっと出てきました。聖路加国際病院ではアントニン・レーモンドの共同設計者として働いた「ベドジフ・フォイエルシュタイン」その人だったんですね。フォイエルシュタインは1892年チェコ生まれ、プラハとパリで建築学を修める一方、プラハの国立劇場やパリ・シャンゼリゼ劇場の舞台装置を担当。1923年には仕事の中心をパリに移し、1926年の来日まで、あのコルビュジエも席を置いていたというオーギュスト・ペレの事務所に所属…といった経歴は編者による当書序文に詳しいところ。冊子はフォイエルシュタインの舞台の仕事に絞り、彼が手掛けた舞台装置の写真21点を収めているのですが、1920年(1921年の誤記か)カレル・チャペック作「R.U.R.」つまり「ロボット」の初演時のものと思われる写真が2点、1922年同じくチャペックが監督を務めたシュラメック作「泣くサテイル」の写真など貴重な図版が多数見られます。それにしても、建築家として来日した人物に何故舞台の仕事をアピールするような冊子が必要だったのか…今度はアントニン・レーモンドで検索してみると、聖路加国際病院の仕事では、その竣工の1928(昭和3)年以前に、設計が不興を買って解任されたとあります。当書の発行は竣工の前年。レーモンドの解任もしくは解任の可能性とともに、日本での仕事に不安が生じたフォイエルシュタインに、建築よりは直ぐに仕事になりそうな舞台方面で岡田忠一(この人もどうやら左翼系文化人だったようで)が手を差し伸べようとした、というのが発行の経緯ではなかったかと推量するのですが…。ともあれ当時の日本には、実にさまざまな理由とカタチで、つい最近まで日本からはとても遠い国だった東欧なども含め、さまざまな情報が伝えられていたことには改めて驚くばかりです。さて、風邪のため、その他の新着品については店への運送が遅れておりますが、戦前の日本人の残した渡航記録関係書籍がおよそ50冊、1960~70年代の雑誌『industrial design』60冊、京唐紙30枚、美術関係書籍30冊、人文科学系図書10冊などが来週中には入荷の予定です。寒くなったりあたたかだったり、天候に振り回される時節ですが、みなさまどうかくれぐれもご自愛ください。

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