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08/08/30 Information

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昭和4年・朝日新聞発行『藤田嗣治画集』・「藤田嗣治君歓迎会」の案内状付きと、右下は猪熊弦一郎の署名入り・直筆ペン画。

■闇を貫く閃光と轟く雷鳴のなかでパソコンに向かっています。荒天続きの8月も残るは二日。来週、9月第一週目も店は火・木・土曜日の各日12時~20時で営業いたします。天候をお見極めの上、ご来店いただければ幸いです。 撃沈した先週の市場から、今週は少しだけ浮上できたようです。新着品、左の画像は2点分。昭和4年・朝日新聞発行の『藤田嗣治画集』だけなら小店でも何度か扱っておりますが、今回は「藤田嗣治君歓迎会」の案内状付き(封筒・返信用葉書の揃った3点。封筒には墨書きの宛名入り)です。この歓迎会、昭和4年に上野精養軒で開催されたもので、案内状にもある通り、この時藤田は17年ぶりの帰国を果たしています。すでにフランスで名声を博していただけあって、案内状に並ぶ発起人のメンツは豪華絢爛。フランスでは一時起居をともにしていた川島理一郎をはじめ、島崎藤村、与謝野寛・晶子夫妻、岡本綺堂、有島生馬、杉浦非水、山本鼎、足立源一郎、市村羽左衛門に市川は左団次と猿之助、同期生有志には岡本一平、池部釣…といった具合。渡仏前、洋画壇から見向きもされなかった日本への、文字通りの凱旋帰国。藤田の人生をドラマに仮想するなら、宴の開かれた昭和4年10月8日は前半生最後のきらびやかな場面となる、その日の貴重な証拠物件。もう一点、画像の右下の女性像は、 “guen”と署名の添えられた猪熊弦一郎の直筆ペン画。そのへんにあった袋か何かにいかにも気軽にペンを走らせたという感じにむしろ惹かれるものがあります。ところで猪熊が渡仏した1938年は、藤田の渡仏から遅れること丁度四半世紀。今回、ご紹介にあたってはじめて知ったのですが、その年月の開きにはちょっと驚くとともに、“先駆者フジタ”の印象を今更ながらに深くした次第です。

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戦前日本で発行されたソビエト・ロシア関係書約30冊が新入荷。いずれも「いかにも」な装丁ばかり。

■藤田、猪熊とどこか端正かつゴージャスなのから一転、こちらは左翼系の書籍の一群。今週は戦前日本で発行されたソビエト・ロシア関係書約30冊が新入荷となります(画像の5点はいずれも昭和一桁~10年代初めの発行)。ここのところ落札するのがこの筋のものばかり。買っても買っても売れる…からではなく、いまどき売れるはずがないのを買い続けている理由はといえば、小店の場合、ひとえにこうした装丁にあります。店の本棚ひとつ、いやふたつくらい、このテの装丁で埋め尽くしたらさぞや壮観であろうと、そんな野望を抱いてしまったがためのもはや病。我ながら病であると認識しながら、しかしそれくらい集めてしまえば“左翼系表象の研究”なんてもっともらしい目録だって作れそうだし、資本主義末期とでもいいたくなる只今現在へのささやかなテーコーといった気分もあり(何しろもともと店自体が赤いので)。普通、古本屋の「集める」という野望というものは、店先で売れていく=いいものから欠けていくがために、なかなか叶わぬものなのですが、何だかこれだけはある程度思いを遂げられそうな気が……って、大丈夫なんでしょうかウチの店。今週はこの他、早く売れてくれれば嬉しい『たて組ヨコ組』約30冊、やっぱり好きな各種カタログ『商報』類がやはり約30冊、ファッション関係の洋書7冊、美術・芸術論考書籍約20冊などが店に入ります。雑書目録も随時更新中。ご高覧のほど! と、ここで急告です。2001年以来、ほぼ毎年秋にあった企画展が今年はない。「なぁーんて気楽なんだろー」と思っていたのも束の間。実は2004年にロゴスギャラリーで開催した企画展「東京・山の手・昭和三代 ムラカミ家のモノに見る昭和史」のそのムラカミさん宅が10月末に取り壊されることになり、であれば現地でフリーマーケットが開催できないかと調整に入りました。実施が決まれば築70年を数えたお宅の建具各種から電笠、陶磁器等骨董類、レトロなカーテンや1960年代のAラインのコートといった衣類や小物雑貨まで、そもそもそれがあった場所でご覧いただき、かつお求めいただければ、という趣向。詳細ご案内までにはまだ少しお時間をいただきますが、今から頭のスミにでも置いておいていただければ幸いです。ちなみに本は一冊も-ただの一冊も!-なし。またしても古本屋の道を踏み外す。実に日月堂らしい秋であります。ははは……。

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