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08/08/15 Information

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1939年大阪商船発行『あるぜんちな丸・ぶらじる丸』のパンフレット。設計は和辻春樹、インテリアは村野藤吾。

■限度知らずのニッポンの夏、みなさまには残暑お見舞い申し上げます。小店、夏季臨時休業も今日までで、明日・8月16日(土)より通常の営業に戻ります。以後、来週も火・木・土曜日の各日12時~20時でご来店をお待ちいたしております。また、HPの受注も再開いたします。併せてよろしくお願いいたします。 さて、今週の新着品。上の図版は1939年の竣工・就航当時、大阪商船が発行した『あるぜんちな丸・ぶらじる丸』の豪華パンフレット。A4より一回り大きい程度のサイズですが、ほぼ全頁カラー・観音開き多数に加え、センター頁は観音開き+天地開き=表紙の8倍サイズで船内配置図詳細をフルカラーで収めています(上図はその一部)。客船内部の配置(位置、機能とも)については、これまで扱ってきた他のパンフに比べても非常に分かりやすく詳細に描かれています。上図を細かく見ていくと、周知のこととはいえ、それはもうあからさまに「船内は厳格な階級社会でありサロンである」というのが実感されます。両船とも設計は和辻春樹。「あるぜんちな丸」のインテリアは村野藤吾が担当、随所に「和」のモチーフが用いられ、ダンスホールにファンシーショップ(詳細不明)、パーマのかけられる美容室なんてものまであったという設備、柳原良平が絶賛したという優美な外観など、日本客船黄金時代の掉美を飾るに相応しい出来栄えだったようです。日本・南米間の貿易や移民などを担うために造船されたこの二船ですが、就航僅か数年、他の多くの豪華客船と同様に1940年代初めには相次いで海軍に徴用・売却され、軍用へと転用された後、敗戦前までに命脈も潰えてしまいました。思えば今年はブラジル集団移民百周年、そして奇しくも今日は終戦記念日です。

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1927~1928年発行『Motion Picture News』より、毎号巻頭を飾る映画広告。

■次の新着品は、洋画家・宮田晨哉の旧蔵品と思われる戦後日仏美術交流に関わる資料一括から…と思っていたのですが、調べに少々時間がかかりそうなので、図版は夏季休業に入る前に店に入れていた『Motion Picture News』1927~1928年発行内二冊から。毎号20頁を超えるフルカラー印刷(少なくとも特色印刷、号によっては石版か?)の広告が巻頭を飾ります。体裁としては雑誌なのですが、刊記を見ると月刊より短いペースで発行されていたのではないかと思われ、こうした図版も勿論、毎号掲載。この当時、世界共通・最大の娯楽産業だったことを考えると、この程度のことはへっちゃらなくらいお金があったんでしょうが。こうした表現はアール・デコを下敷きにしているのだろうと思うのですが、毎号、デザインを変更しつつ、号毎に表現に統一をもたせるなど、器用なところも見せてくれます。アメリカン・デコで有名なマッキントッシュによる雑誌『ASIA』と比べると、大衆向けのキッチュさは否めませんが『Motion Picture News』も捨てたものではなかろうと。一方で、毎号毎号「これでもか」という程、物量を見せつけるあたり、いまもむかしもアメリカらしいところかも知れません。アメリカの文明・文化に通じていた人たちの間では、アメリカとの戦争で勝てるわけないといわれていたと聞きますが、むしろこんなものばかり見ていたら日米開戦なんゾ…といったところで歴史は変えられませんが、これから先の歴史を作っていくのは他でもない私たちであることだけは間違いないのだと思う8月15日です。話は新着品に戻って、この他、ドナルド・ジャッド関係の書籍・図録他現代美術関係図書は値付けが終わって明日より棚入れ・データアップの予定、また、来週火曜日には五反田より約100冊ほど人文系、美術関係の書籍も入荷いたします。まだまだ残暑が続きそうですが、みなさまどうかご自愛の上、また店にもお越しください。

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