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08/07/26 Information

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厚生閣「現代の芸術と批評叢書」より、『コクトオ芸術論』と『サンドラルス抄』。ともに初版・カバー付き。

■東京の真夏日は金曜日で連続14日を数えたそうで。しかもまだ一週間は真夏日が続くそうで。お天道様に素直に従い、干乾びそうな小店ですが来週も火・木・土曜、各日12時~20時で営業いたします。夏休みは10日からの週のどこかで、の予定(決まり次第ご案内いたします)。それまではご来店の程…暑いですが…冀い奉ります! 先週の根拠なき強気の入札の反動か、今週はもう本は見たくないという気持ち半分で出かけた市場。なのに、つい買ってしまうのは…好みの偏る本ばかりとなってしまいました。上の画像は厚生閣書店発行・「現代の芸術と批評叢書」の内の二冊。『コクトオ芸術論』は昭和5年、『サンドラルス抄』は昭和4年発行のともに初版本・カバー付きです。『コクトオ~』はジャン・コクトーの「雄鶏とアルルカン」「職業の秘密」「世俗な神秘」の三篇から成り、音楽、詩、絵画という三分野の芸術論を総覧しようという目論見。翻訳は、堀口大學に続いて早くからコクトーの日本紹介に努めた佐藤朔が手掛けています。『サンドラルス抄』はブレーズ・サンドラールが1919年から26年に著した詩やエッセイから編まれたアンソロジーです。『超現実主義と絵画』や『超現実主義詩論』で知られる厚生閣のこの叢書、横に広い少し変わった版型、カバーの下の装丁、本文の版組、挿絵の選定など、どれをとっても細部にまで目配りの利いた本ばかり。叢書の編集人を務めたのは春山行夫なのですが、1970年代以降の仕事しか知らず、単に博識で器用なモノ書きだと思っていた私は浅墓だったと、戦前の春山の仕事を見る度にそう思います。先週に続いて先入観は禁物だということになりますか。それにしても、戦前のモダニストやアヴァンギャルドを担っていた人たちが、一見ちょっとばかりお洒落なオジサンのような顔つき・手つきで、どこかノンシャランとあちこちに原稿や作品を寄せていた戦後の一時期というのは、いま思えば贅沢な時代だったんですねぇ。

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ジョルジュ・ディアメル著、1953年発行『LE JAPON -entre la ttradition et l’avenir』。扉には著書による見事な献呈署名入り。

■ParisにJapon。小店としては見過ごしにできない単語がチラチラ目につく大判洋書のひとくちから、見つけ出したのが次の一冊。フランス・ユマニスムを代表する作家のひとり、ジョルジュ・ディアメル著、1953年発行の『LE JAPON -entre la tradition et l’avenir(日本-伝統と未来との間に)』。扉には、レイアウトにも気を利かせた著者直筆の献呈署名識語がありました。デュアメルはこの本の発行された1953年に日本を訪ねており、その時の印象と思索をまとめたものと思われます。デュアメルの著書のひとつに1929年のアメリカ旅行での見聞から機械主義文明を批判した『未来生活風景』があり、日本では昭和24年(GHQ駐留当時!)に翻訳されたりもしているのですが、さて、ユマニスト・デュアメルは果たして戦後の日本をどんな眼で眺めていたのでしょうか。本は幅広変形判のフランス装(アンカットはそのまま残されています)、所収写真は60点。写真では、マグナムのメンバーで戦後の日本を撮影したワーナー・ビショフや、ピエール・ベルジェの写真を多数採用。彼らのまなざしを通し、昭和の日本の佇まいが温かく伝わってきます。いまの日本とは遥かに遠い、日本の姿があります。*追記:7/26、店に届いた落札品を改めたところ、このデュアメルを引っ張り出した一口に嘉納治五郎宛の署名の入った本多数あり。デュアメルの献呈先は、治五郎の次男・嘉納履正だったことが判明いたしました。本はやっぱり買わないことには分からないですねぇ。 今週は溜まっていた人文書、認知科学関係、翻訳文学等、一般的な古本を一通り「雑書目録」にアップし終えました。画像入の在庫目録のうち、「PRINTED MATTER」には1910年代のボン・マルシェのカタログ類をアップ、但しこちらはまだ途中(ボン・マルシェ、アイテム別のカタログがまだ他にもあります)。こちらも溜まったままの展覧会目録は来週から「雑書~」に順次アップ予定。暑さ厳しき間、せめてHPでお楽しみいただけますよう、来週もデータ・アップに努めます!

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