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08/04/05 Information

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1900年パリ万博にも出展したイギリスThe Association of Diamond Merchants, Jewellers, and Silversmiths社の『ILLUSTRATED CATALOGUE』。

■桜もはや緑の葉が芽吹き始めて。今月は二年に一度東京で開かれる市場があったり、今月末までに即売会の目録を完全データで作成しなければならなかったりと、すでにバタバタの日々に突入いたしております。店は来週までは通常の火・木・土曜日の各日12時~20時で営業いたします。目録用の品物を取り払ってガラガラと店頭商品の入れ替えも進めております。この機会にご来店いただければ幸いです。 さて、今週もまた新着品のご案内。The Association of Diamond Merchants, Jewellers, and Silversmiths, Ltdが1900年に発行した『ILLUSTRATED CATALOGUE』。文字通り全ての商品が「イラスト」化された313Pはモノ・もの・物の洪水。面白いのは扉と他にも何箇所か赤インクで押された英文スタンプで、それによると「私どもの商品見本は1900年パリ万博の一階英国セクション・第15グループでご覧いただけるでしょう」とあるところ。本拠はイギリスの会社ですが、何といってもパリ万博、やはり最大の商機だったに違いありません。カタログに掲載された商品は、さまざまなカッティングの施された大粒のダイヤモンド各種(!)に始まり、豪華絢爛たるネックレス、頁当たり60点程並べられた指輪は何頁にもわたり、化粧品まわりのケース類はもとより果ては駝鳥の羽でできた扇子まで、ご婦人用品を中心に、殿方向けには時計にカフスボタン、喫煙用具や文具をご用意、さらにご家庭内用に時計各種や銀器まで…。見ているだけで確かに楽しい。昔の人だって楽しかったはず。富裕層のみが享受していたものとはいえ、19世紀末には消費はすでに娯楽と化しておりました。一方、デザイン的には依然モダニズム前のことであり、大量生産向きとはいえない装飾的なデザインが圧倒的多数ですが、その分、工芸品のデザイン見本集といった趣があります。しかしこのカタログ、欠点なしとはいえません。天と見返しに名前と、何と「忠勇」の文字が墨で黒々と書き込まれ…どうした経緯でか随分古くから日本人の手元にあったことの証左であるとはいえ、何とも不似合、無粋な「忠勇」の文字は一体何を思ってのことだったのでしょう。もしや戦時の世相の中で、奢侈を極めた“悪書”を焚書・没収から守ろうという意図でもあったか…というのは深読みに過ぎましょうか。

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1929年発行、アンドレ・ルビンソン著『LA DANSE D’AUJOURD’HUI(=今日のバレエ)』はさながらダンスのエンサイクロペディア。

■今週の二点目は、南江二郎の『新詩集』(昭和8年・200部限定)をと予定していたのですが、綺羅びきの洋紙に金線で女性像をあしらった実に瀟洒な専用袋も、小型判ながら天金を施しゆったりと活字を組んだ本文も、画像に取り込むと妙に軽ぅーく見えてしまい…やはりリアルなかたちでしかお伝えできないものがあるのを実感しつつ、急遽差し替えました。小型・薄冊の『新詩集』とは対極の大判、かつ、500Pを超える大部『LA DANSE D’AUJOURD’HUI(=今日のバレエ)』は1929年発行のアンドレ・ルビンソンの著書。著者はペテルスブルクに生まれたロシア人。フランスでダンス専門のジャーナリストとして活躍し、現在も新刊洋書で著書の一部を買えることからすると、いまに至るもその世界の泰斗のひとりといえそうです。『今日のバレエ』はいわずもがなの「バレエ・リュス」詳解から始まって、「スエドワ」にも紙幅を割き、パブロヴァ、ダンカン、そしてストラヴィンスキーには各々一章を割り当て、もちろん「リズミック」に関する運動も論評するし、当時流行していたスパニッシュ・ダンスを取り上げたかと思えば、中東・亜細亜の伝統舞踊と現代のアレンジに目を向け、ジョセフィン・ベーカーをはじめとするレビューやアメリカのミンストレルに目を転じ…とまぁとにかく多岐かつ詳細。さながらダンスに関するエンサイクロペディア―しかも舞踊芸術が最も先鋭的だった時代の―といった内容をもちます。収められた写真も気前よくどーんと400点。全身黒タイツで踊る女性なんていうのがある一方、マン・レイ撮影の写真も散見され、画像の右端はいかにもそれらしい一点。また、画像真ん中の頁に見られるように、エディトリアル・デザインにまで配慮がゆき届いてるのもうれしいところです。ルビンソン氏、この本のなかで、大和、推古天皇、法隆寺、鎌倉大仏、東洲斎写楽、床の間、浪人といった単語を散りばめて日本に関する記事も書いているのですが、フランスまでこうした情報を伝えたのは一体何だったのか、非常に興味深いところです。床の間とダンス。あるいは大仏とダンス。それって。一体……読めるものなら読んでみたいぞフランス語。 今週の落札は11口とそこそこあり、一部は即売会に直行となりますが、日本人による戦前の巴里見聞関係十数冊、戦前フランスの美術専門誌約20冊、戦前の電化製品・薬品・日用品関係の紙モノやカタログなどは順次店に出す予定です。目録掲載分を店先から抜き、抜いた分を埋めるべく落札品に手を入れ値を付け、目録原稿も急いで書いて、ああっ。で、いつ撮影するんだろう目録用の写真……と例によってマッチポンプな日々がGW直前まで続きそうです。先に述べました通り、さらに市場の関係などもからんで13日の週以降は営業日が多少変動する可能性があります。13日以降ご来店予定の方には、予めご確認のほどよろしくお願い申し上げます。

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