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08/03/29 Information

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1927~28年発行『LA REVUE DE LA FEMME』。左は「ジャンヌ・ランバン」、右は「メゾン・ポール・ポワレ」の広告。

■昨年まで、店のベランダ越に目を楽しませてくれた根津美術館の桜の木が失われ、今年は少し寂しくなってしまいましたが、すぐ近くの青南小学校や青山墓地の桜の木々は今年も、いまが盛りと咲き競っています。気もそぞろなるこの季節、古本どころではなかろうかとは存じつつ、店は来週も火・木・土曜日の各日12時~20時で営業いたしますので、どうか是非ご来店ください。 先週は「本口」がまとまって入荷したのに続いて、今週は洋雑誌が『Commercial Art & Industry』、『Commercial Art』、『MOVIE CLASSIC』などいろいろ取り混ぜて合計約40冊、新入荷と相成ります。新着品の最初はそんななかから、フランスの女性雑誌『LA REVUE DE LA FEMME』。1927年から28年に発行された10冊での出品でした。この当時の女性雑誌としては、ポショワールによるファッション・プレートが誌面を飾る『ガゼット・デュ・ボン・トン』などが知られていますが、こちらは少し地味。というのもファッション・グラビア(写真)が多用されていることがその一因で、しかしその分、当時実際に着用されていた洋服・装身具などのデザインが、むしろ細部までよく分かります。このため資料として見た場合には、『ボン・トン』より上といえるかも知れません。また、ポショワールが入らないからといって“高級”でないかといえば、さにあらず。上の画像、向かって左は「ジャンヌ・ランバン」のスタイル、向かって左は「メゾン・ポール・ポワレ」(!)の広告。広告から記事に至るまでどれを見ても、当時の高級婦人服のもつ優雅さが感度・精度とも確かな写真で表現されています。とりわけ毎号のように紹介されるランバンのスタイルは白眉。ざっと見ただけですが、すでにソニア・ドローネの洋服も数点発見しました。モデルにミスタンゲットが使われていたり、サカロフ夫人の肖像が扉を飾っていたり、記事では毎号のように紹介されるダンスに関する話題から、博覧会やリゾートなど時宜を得た企画まで。選手全員ご婦人方の2チームががっぷり四つに組んだラグビーやサッカーの写真&記事なんていう突拍子もないのもありますが、雑誌全体としては有閑階級を意識しています。画像の真ん中に置いた一冊のように、表紙は毎号2色印刷ですが、号毎に意匠の変わるアール・デコ様式のイラストは、当時のモードを伝えるに充分な役割を果たしています。

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絹平織りのリボン118点をあつめた「綬」の見本帖より。昭和初期頃までのものか。

■ずらずらっと並べてみましたリボンの画像(現物をスキャンし、並び・背景を加工)は、こちらも今週の新着品。布装のアルバムに絹平織りのリボンを貼り付けた、「綬」の見本帖です。「綬」というのは即ち「リボン」のことではあるのですが、そこいらのプレゼント用のとは違って紫綬褒章など褒章授与の理由により色を変えて使われるものなのだとか。この見本帖についてはこの「綬」が並んでいるだけで、来歴・由来など手掛かりの一切ない、解説書くには実に困った物件なのですが、アルバムの体裁や紙から昭和初期頃までの時代のもので、綬の種類が118点と多様なことから、おもに軍隊にまつわる褒章を誂える業者が自店内で使うために用意していたのものではないか?と見ています。118点のなかには、それこそスキャパレリのようなショッキング・ピンクを大胆に使ったものや、オレンジ&ブルー&グリーンのストライプなんていう南仏テイスト、真っ黄色&真っ赤で無闇に幅広・インパクト大な代物などもあって、先のランバンなどとはおよそ対極のアノニマスなデザインですが、しかしこちらも相当お洒落です。軍服とは無縁な時代を、褒章などとは無縁に生きたい-望んだところで無理!-と思い、歴史を顧みるに軍服が格好いい時は要注意だと分かっていながら、しかしこの「綬」のセンスを認めないわけにはいかないのでした。それにしても、歴史(小店の)を省みるにアノニマスなのは売れないと痛いほど分かっていながら……どーしてなぜに。あなたは買ってしまうの(単なる馬鹿ですな)。深く反省するのは後にして新着情報を続けますと、既述の洋雑誌各種をはじめ、今週はこの他にも戦前の『松坂屋・秋冬の流行』(木版多色刷りの着物図案各10葉・抽象柄含む)2冊、1950年代に絵葉書の業界団体が発行した現物貼り込み多数の年鑑『日本絵画趣味紙工品通信』4冊、明治期の手札写真などのまじったダンボール1箱分の『紙ものいろいろ』、そして何故か『矢内原伊作書簡』1通などが新着。また、これまで手を付けずにいたフランスのアール・デコ期の石版多色刷り図案リーフ『高島屋百選会』等着物図案集なども店先に。この新着ご案内で二回前の靴のカタログなどと合わせると、俄かにファッション関係のアイテムが充実してきたようです。これで店内にも春の明るさが…はなにあらしのたとえもあるぞ by井伏鱒二…そう簡単ではないものの…書を捨てよ、町に出よう by寺山修司…ともあれみなさま桜は見頃をはずしませんように。時こそ今は!

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