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08/02/09 土 Information

「パナマ・カリフォルニア博覧会」公式印刷物より。上はポップアップの仕掛けのあるHMV製ポストカード。

■肋骨骨折などと軽率に書き込んでしまったために、今週はさまざまに励ましをいただくことになり、ただひたすら恐縮いたしております。本当に有難うございました。まだコルセットのお世話になりながらも、お陰さまで痛みはずーぅっと軽くなりました。来週も火・木・土曜の各日12時～20時で店を開けながら、おとなしくコルセットから解放される日を待ちます。 ■今週の市場にはお客様からお預かりした大量蔵書を出品しておりまして、こうした時には出品分の札の入り具合を確かめる仕事に忙しく、自分が入札する方の仕事がどうも甘くなる傾向があっていけません。とはいえちゃあーんと新着品をご用意するのが店を務める者の使命。新着品の最初は1915年から1916年にかけて開催された「パナマ・カリフォルニア博覧会」の総合パンフレット、パビリオンやアトラクション別に用意された公式印刷物5点 (画像はこの内3点をピックアップ)。この博覧会、1914年にパナマ運河が開通したのを記念して、この運河を利用する航路上、アメリカ最初の寄港地となるカリフォルニアはサンディエゴで開催されました。画像のうち、カラー印刷の一点は「ファイン・アート館」の記念品として、ビクターが制作・配布したと思われるポストカード。といってもそこは博覧会の記念品。単なるカードとは異なり、サイズは倍、ビクター犬（HIS MASTER’S VOICE）のあの有名なマークが印刷されたカードを開くと、楽器やオーディオ機器のある空間で寛ぐ男女がポップアップで前に迫り出してくる仕掛けです。ポップアップの対向面は「ファイン・アート館」外観のカラーイラスト。「ファイン・アート館」には一体どんな作家の作品が並べられたのか、今日のところは分かりませんが、米国の前衛美術が1913年のアーモリーショーを契機として勢いを増していたことを考えると、展示作品のなかにはその手の作品もあったのではないか、いやむしろ、だから「ファイン・アート館」なるものが成立したのか…この辺り、やはり後日調べておくことにいたします。それにしても…この当時、ヨーロッパではほとんどの国が第一次世界大戦による戦乱のさなかにあり、アメリカのこの余裕は対照的。アメリカが20世紀の世界をリードしてきたのには、戦争には加わりながらしかし一度も戦地になったことがないことも大きく作用したのではないか、と思うのは…一種の偏見でしょうか。

ドイツの映画専門タブロイド情報紙『DER FILMS』1929～1930年発行分より。

■お次はその第一次大戦によって翻弄されることになったドイツの映画専門タブロイド情報紙『DER FILMS』1929～1930年発行分より、厚さにして約7～8cmはあろうかという部数。痛みやすい新聞紙を使用しているにも関わらず、コンディションにはほとんど問題がありません。今回、入手した年代は、ちょうど無声映画からトーキーへの切り替わりの時期であると同時に、ナチスによる政権奪取の前夜。掲載されている広告や写真をざっと見た限り、表現主義的な表現やチャップリン映画の広告、退廃的印象を残す映画スチールなど、ワイマール共和国下での最後の輝きが残されているかのようです。1930年制作、マレーネ・デートリッヒを国際的なスターへと押し上げた「嘆きの天使」に関する記事なども、よく見れば出てくるかも知れません。資料的な意味はもとより、古い新聞独特の紙質感や写真を交えたレイアウト、見出しや広告のタイポグラフィーなど、「紙モノ」としての魅力も大いににあり、こちらはいまのところバラ売りの予定です。落札品にはこの他、翻訳文学約50冊、展覧会図録約20冊、人文科学系図書約20冊など、久しぶりに白っぽい本もまとまってあり、こちらは来週半ば頃からぼちぼち棚に入れ、「雑書目録」にアップし、と随時ご案内いたします。併せてよろしくお願いいたします。 ■やはり、そう簡単に出てこない大正年間から1980年までに発行された『黒髪』『新美容』『しんびよう』『美容師の友』『TOMOTOMO』と、『しんびよう』の付録『しんびようプラス』と『みわく』。引き続き探しております。お心あたりの方がいらっしゃいましたら、どうかよろしくお願いいたします。