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07/12/22 Information

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ケルムスコット・プレス刊行書『サー・イザンブラス』 1897年350部発行

■先ずは年内営業日のご案内。12/22(土)、25(火)、27(木)、29(土)の各日12時~20時で営業いたします。もうすぐクリスマス。クリスマスを過ぎれば年末。古本どころでもなかろうとは存じますが、新着品もあります手前、伊達と酔狂を旨とされる皆様には、年内最後のご来店をお願い申し上げます。 小店、年内の市場はこれで打ち上げと決めていた21日の「明治古典会クリスマス大市」。落札品したての品物より、新着品はクリスマスのイメージに相応しくウィリアム・モリス(William Morris)のケルムスコット・プレス(Kelmscott Press)刊行書二冊です。上の画像はF.S.エリス(F.S.Ellis)編、1897年350部発行『サー・イザンブラス(THE ROMANCE OF SIR ISAMBRAS)』。同プレス刊本の48点目で、書体にはチョーサー活字がとられています。下は同プレスの発行53点目であり、最後の刊行書となった『ケルムスコット・プレス設立趣意書』。限定525部が1898年に刊行されています。英文のタイトル『A NOTE BY WILLIAM MORRIS ON HIS AIMS IN FOUNDING THE KELMSCOTT PRESS/TOGETHER WITH A SHORT DESCRIPTION OF THE PRESS BY S.C.COCKERELL & AN ANNOTATED LIST OF THE BOOKS PRINTED THEREAT.』-長い!-が示す通り、ケルムスコット・プレス設立にあたってのモリスの思考・思想とともに、刊行全書誌や同プレスから生まれた書体、オーナメントの作例なども盛り込んだ総まとめともいえる一冊です。『イザンブラス』と比べるとオーソドックスともとれる書体はゴールデン書体、扉の挿絵はバーン=ジョーンズ(EDWARD BURNE=JONES)が手掛けたものです。正誤表の綴じ込み有り。二冊いずれも表紙に小さなシミが認められる以外、本文にも退色やシミなど目立ったところのないかなり良好な状態が保たれています。

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ケルムスコット・プレス刊行書『ケルムスコット・プレス設立趣意書』は限定525部が1898年に刊行された。

ケルムスコット・プレスの刊行書は一見、20世紀モダンへと向かっていく時代に逆行するかのように見えますが、モリスのデザインと生活とを結び付ける思想、デザインは可変的なものなのだという思考は、その後十数年を要してヨーロッパ大陸の側で一斉に芽吹いていくモダニズムの先駆けに位置しています。おもてに表れているものというのは、常にその背景にある思考や思想のごく一部を映したものに過ぎずないはず。だからこそ、やはりテキストというものが尊重されねばならないと思うのは、私もまだ辛うじて本屋の端くれだからでしょうか。とはいえ、今年、とうとう「中近両用」という名の老眼鏡-やれやれ-を誂えた私は、それを読み取る眼と頭を鍛えるにはいささか歳をとりすぎたかと思う年の暮れではあります。いやその前にクリスマス。皆様には、多少なりとも眼福をお届けできたのなら幸いです。 ■「人馬一体」とはよくいったもので、市場では「飛ばしたがる馬=私」と、その手綱を握って後ろに引く「騎手=私」とがひとつの頭のなかでぐるぐるうねうねとせめぎ合うことになります。手綱を後ろに引く主な動機は「ほらほら生活、破綻するでしょ」という主に財政的諸事情。今年最後の明治古典会ではマルティの挿画本数冊の交じる洋書の口を9,000円差で負け、川島理一郎描くところのパリの撞球場の水彩画は2,000円の差で負け、ツェッペリン号の写真帖や雑誌『CANTON』に至ってはかすりもせず、そのあたりになると走る気も失せ、と同時に改札も終盤となってしまい、「人」が先に立てば「馬」が全く走れぬのは毎度のことながら、ケルムスコットの二冊が同時に改札される位置にあるのを見て腹をくくり、ぱぁーんと手綱を放してしまったのが…いま思えばいけなかった。年内最後の市場、悔いを残してどう年を越す、というのはもはや馬の思考でありまして、結果『イザンブラス』が四枚札の天辺、『設立趣意書』が同じく四枚札の上から二番目の値での落札。実は他にも落札品はございまして、従って当方懐もぱぁーんと弾けてすっからかん、火曜日の洋書会特選市でもそこそこ買っておりますので、年内は来週末にもう一度、2007年最後の新着品情報更新を予定いたしております。店には戦後のマッチ箱(経木の時代の完品)、ゴールデン・バットのパッケージをとことん使って人形をつくりまくった珍本『オモシロクデキル バツト人形』 (いやこれは後日画像でお見せしたい!)、ストラビンスキーやオペラ関係の、もうひとつバレエ関係の、それぞれ洋書が一口ずつ、「浦塩 通訳何某」とあるロシアの絵葉書などなど-年内最後の悪あがき-新着品で店の棚にも手を入れております。これも市場のあるおかげ。しかも市場は明朗会計。来週中(!)には納める規則……鬼です。正月より節分に早くやって来てもらいたいものです。あっ。来週の更新もご高覧のほど!

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