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07/12/08 Information

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『実用秘訣 西洋料理法大全』大正10年発行の第七版 右は口絵より「菓子型」の図版

■しまった!洋書会の特選市が来週火曜日なのか再来週の火曜日なのか、確認するのを忘れてた…すみません。来週火曜日にご来店の折には12時過ぎに一度お電話の上でお出掛けください、と一度書いたのですがここで訂正。来週は火・木・土の12時~20時で営業いたします(洋書会の特選市は18日。で、この日の営業は微妙です)。年内の営業日も残すところ10日間を切りました。しつこいようですが年明けのパリ行きは見送りです。何が云いたいか? - せめて正月には餅が食べたいかなと。 11/19の発表以来、世界で一番星の数が多くなったTOKYOを中心に、依然としてミシュラン騒動は続いているようですが、今週の「新着品その一」は『実用秘訣 西洋料理法大全』、英文タイトルに「THE SENSE OF COOKING」と記された厚さ約4cmに及ぶ威風堂々たる書物です。山田嘉吉・渋谷馬頭の共著、サンフランシスコの青木大成堂を発売元とし、明治38年に初版発行以降、増補再版を経てさらに版を重ね、今回入手したのは大正10年発行の第七版。巻頭口絵や図解も含まれています。基本的にはレシピ集なのですが、調理と料理とサービスの西洋化初期段階にあたり、余りものまで利用しようね、といった「料理十戒」からテーブル・セッティングの基本まで ― はるばる桑港から日本へ向けて ― これ一冊で西洋料理を一通りお教えしましょうといった配慮がうかがえます。ここではいちいち挙げませんが、レシピは実に端整な言葉で、いかにも生真面に綴られていて可笑しいような哀しいような。メニュー構成では肉料理とともにスイーツの品数の多さが目をひいて、なるほど約一世紀を経て、やっとこの本の世界が現実になったのかと思いもします。ここにある多彩な西洋料理をいま一通り私たちが簡単に享受できるようになった向こう側には、先人の積み重ねてきた試行と奮闘努力との歴史があります。ミシュランの情報に右往左往するよりも大切な何かが、市場帰りの居酒屋で食べた「豚トロトッピングのピッツァ」の上にだってある。とそう思うのはグルメとは無縁のビンボー古本屋の負け惜しみではありますが。せめて餅は食べ…(…あんたは●屋か!)。

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大阪商船発行『日満連絡新造船 吉林丸・熱河丸』のパンフレット インテリアは中村順平

■欧化と表裏一体をなしていたのが富国強兵であり、「新着品その一」にでさえ西洋料理によって頑強なカラダをつくろうといった文言が記されていて、歴史というものは常に単独・単純ではありえないもののようです。「新着品その二」は富国強兵の挙句に手に入れた植民地・満洲にからんで。昭和10年に大阪商船が発行した『日満連絡新造船 吉林丸・熱河丸』のパンフレット。袖折込の「客室配置図」を含めわずか13頁の薄冊ながら、内11頁がフルカラーで多くは室内装飾のスケッチに割かれています。室内装飾を手掛けたのはフランスから帰朝した建築家の中村順平。「仏蘭西政府建築士」と肩書きが記された中村自身による解説に1頁が費やされています。帰朝者・中村によるデザインは、写真がないのが惜しいものの、当パンフレット所収のスケッチに見る限りグリーンとブラウンを基調とした徹底的なアール・デコ・スタイル。かなり凝った設えだったようです。企業としては日本郵船の後塵を拝しながら(というのは私の偏見かもしれませんが)、しかし年々重要性の高まった日満航路にあって、大阪商船も新造船には当然力を入れたはずです。船旅の楽しみは食にありとはよくいわれること。これらの船の上で、一等客室の乗客たちには一体どんな料理が供されたのだろうと、再び『西洋料理法大全』を開き…なんてやっていると眠れなくなるので今日はここまで。新着品はこの他、戦前の外国絵葉書が大判のファイルで4冊分(…枚数カウント不可能)、英語版満洲年鑑他満洲関係4冊、FRONT日本語版『大東亜建設画報』などなどまだまだありまして、手が追いついたものから順次店頭でご紹介いたします。

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