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21/02/20 印刷したてのような『死刑宣告』第二版 極美本 ! 新高マンガ文庫『バクダン小僧』は25冊!

■来週の営業のお知らせを手短に。来週はお客さまよりご依頼いただいた市場への大量出品にあたり 店の営業は2月23日(火)と27日(土)の12時~19時とさせていただきます。普段なら営業日にあたる25日(木)は休業とさせていただきます。どうかご注意のほどお願い申し上げます。

詩人で「萩原」と云えば「朔太郎」というのが通り相場で、同じ萩原でも「恭次郎」なんて云う人が居るなんてことを知ったのは、古本屋になって後数年経った頃のことでした。
以来この20年ほどの間、「萩原恭次郎」という名前は、『マヴォ』という雑誌発行で知られる大正時代の前衛芸術家グループのメンバーであり、日本を代表するダダイスト集団として位置づけられることになるマヴォイストのひとりとして、小店にとっては純文学カテゴリーにある朔太郎よりも、より近しく意識し続けてきた名前です。
萩原恭次郎の代表作のひとつ『死刑宣告』の2版(再版 大正15=1926年発行)が再入荷いたしました。小店では実に6年半ぶりの入荷となります。
今週の日曜~月曜の2日にわたって開かれた市場で、何故か数千円の差で負けが続いて追い込まれ、赤い緋毛氈の敷かれた最終改札台の上のこの1冊に、とりあえず本気の札で臨むことになったというのが入荷までの正直な経緯ではあるのですが、しかし! 今回入荷した『死刑宣告』はこれ以上望むべくもない極美品(元パラ付き!)で、本気で臨む価値ありと見ました。
これだけの美本、逃せば二度と手にすることはありません。その状態があまりに完璧すぎて真正の元版なのか心配のあまり(後述の通りオリジナルしかないのに)、活版印刷によって生じた印圧を全ページ指で触って確かめてしまいました。いま考えるとアホみたいですが本当のお話し。
函には背の僅かな退色や平と角の僅かな傷など多少の傷が認められますが、本体に関しては1ページ・1点たりとも焼けもシミも傷もなく、表紙のエナメル部分の欠けもスレもなく、どこからどうみても傷一つ見つからない完璧な状態です。
当HPをご覧のみなさまには、いまさら云わずもがなですが、『死刑宣告』第2版=再販は初版と函のデザインが異なる他、再版では扉にも「再版」と記載、また、恭次郎による「第二版の序」4Pが追加収録されています。初版と異なる意匠と内容によって、コレクターや研究者・アーカイブなどにとっては、初版と同時に二版を所有する意味が付加される結果となりました。ちなみに、初版は忠実に復刻した複製品がありますが、再版については複製がつくられていないため、第二版は刊行当時のオリジナルしか存在しません。
これもまた云わずもがなですが、この本の最大の魅力はダダイスト萩原恭次郎による視覚詩への試みと、岡田龍夫によるリノカット15点が収められていること。表紙ももちろんリノカットです。 

リノカットとは、この当時、新素材として床材などに使われ始めた「リノリウム」を版として利用した版画の一種。スミベタ部分をよく見るとカッターマットにみられるような縦横の細かい目が認められます。
リノカットのオリジナルは岡田龍夫15作の他、戸田達雄、高見沢路直(=田河水泡!)、矢橋公麿など三十余点を所収。また、村山知義、柳瀬正夢、タトリンなど8点の写真版も。視覚的な試みとしての萩原の詩とも相俟って、いま見ても驚くばかりのモダンで前衛的で視覚的な詩集となっています。
ここ5~6年の間、戦前日本のモダニズムの文脈に注がれた海外での関心の高まりにより、関係する書籍や印刷物、なかでもマヴォ関係は高騰が続き、何しろ最初に売った『死刑宣告』は函欠けとは云え初版9万円でも値切られたという記憶が消えない小店には年々縁遠くなるばかりの『死刑宣告』でしたが、この間落札できなかった分のくやしさを極上の状態にかえて取り戻すことができたように思います。

■ドロップと云えばサクマか新高。これは小店店主が子どもの頃のジョーシキでして、今回のマンガ文庫入荷まで新高製菓がすでになくなっているとは思いもよりませんでした。云われてみればとんと見かけなくなったような ……
それはさておき。新高製菓学芸部発行、西川コーゾー作・画『新高マンガ文庫 バクダン小僧』が入荷しました。昭和9~10(1934~35)年月刊発行内、第1号~19号、31号~36号の25冊。全篇、バクダン小僧を主人公とする一話完結の連作漫画です。
製菓企業には明治や森永など、宣伝に秀でた企業が多く、ノベルティも多数ありますが、新高製菓のこの手の印刷物を扱うのはこれが初めてだと思います。
作者の西川コーゾーという名前をググってみると、西川鋼蔵という人のことについて書いたサイトが出てきました。読めば西川のご子息にあたる方が書かれたブログで、西川鋼蔵とその家族が戦争によっていかに翻弄されたか、一読直ちにお分かりいただけるかと。
http://nishikawasan.sakura.ne.jp/az/father.htm
西川家は焼失、新高製菓も消失したいま、これだけまとめて入手できる機会は稀だろうと云うので落札した「バクダン小僧」等戦前小型本型ノベルティの一口には、この他、印刷の4色分解を順序刷のようにして視覚化した左上の『シロキエホン 〔ノリモノ.コドモのオウチ〕のできるまで』や『幼年倶楽部附録 早ガハリエ本』なども
旧蔵者の選定眼が光るラインナップは明日より店頭でご覧いただけます。
『バクダン小僧』は一括での販売となります。どうか悪しからず。

今週の斜め読みから。
一週間前のあの地震で、10年前のニュース速報で何度も目にした町名が、今回もまた並んでいるのを見るにつけ、やるせない気持ちになりました。日本列島というのは思えばずいぶんと過酷な土地です。
https://www.facebook.com/masakatsu.yoshida.167/posts/1865450166953080

「復興」を謳って誘致したオリンピックはスタジアムからシンボルマーク、この度の舌禍等々、次々化けのが剥がされてきましたが、オリンピックのはらむ問題はそもそものところから根深いものがあるようです。
https://www.facebook.com/permalink.php?story_fbid=3550716285152571&id=100006427023155

にしても、〇本会長に〇川担当相に女性4割ってそーゆーこと !?

 

 

 

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