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19/09/28 木版刷印刷物に見る明治~昭和・日本のデザイン

■更新を1回休んで、さて久々の更新を…という今日がもう9月28日!ではないかと。 来週は10月だぞと。しかも資料会大市があるぞと。
というわけで、またまた来週、営業日程に変更があります。
来週、店の営業は10月1日(火)と10月5日(土)の2日のみとさせていただきます。
ご来店をお考えの方はご留意下さいますようお願い申し上げます。
また、10月1日より小店も消費税10%をお預かりすることになりますが、9月末までに値段をつけて店に出した商品については、一部予め価格を改定記載した商品を除き、価格を据え置く予定でおります。
見返しや函、値札などに書かれている価格は全て内税扱いとなっておりますので、これまでと変わらずご利用いだければ幸いです。
何卒よろしくお願いいたします。
 
久しぶりに芸艸堂の木版刷美術出版物が入荷しました。宗達筆 波濤明治43(1910)年の発行とありますので、いまからおよそ110年前の発行ということになります。芸艸堂の刊行物は長年、気を付けて見てきたつもりですが、この図案集は小店初見。芸艸堂ものの中では珍しいものではないかと思います。画像左下・茶色縞の和紙に題箋が貼られているのは筒状の袋で、完本と見て間違いなさそうです。 

波の意匠以外にあるのは扉の「観濤 鐵齋」の文字と奥付だけなので、あくまでタイトルから推察するばかりではありますが、俵屋宗達の作品から波濤を描いた部分を抽出選定、それを図案化して1冊の本にまとめたものと見られます。奥付の著者名に「故人 俵屋宗達」と記載されているのが何だかかわいい。
波濤図は全20図。全て直径27cmのなかに収められ、また、使われている色は濃淡グレーと銀色との3色だけという、非常に禁欲的なルールのもとでまとめられており、左右余白をぎりぎりまで切り詰めたバランス感覚ともあいまって、古典的というよりも現代的な印象が強い仕上がりとなっています。
とてもモダン。そして、そればかりでなく- 白い和紙の中央、中空に浮かんだような球体は地球にも似て、なるほどこれは水の惑星を描いたものではないのかと、その昔の芸艸堂アート・ディレクター氏のたくらみに脱帽しました。
 
■こちらも久しぶり、しかも7~8年越しか? という本当に久々の入荷となりました。お菓子の意匠と意匠名を木版刷の書籍にまとめたもの。『製菓美術 国菓図鑑』というタイトルで、著者は大日本大阪製菓研究所長・寺田一夫昭和12(1937)年、西宮本町にあった菓"製美術書出版"西宮書院より限定500が発行されました。
図版は36頁で全て木版多色刷。それぞれの対向頁に菓子銘とレシピが記載されています。
いまと大きく異なるのは、節句や慶事・不祝儀などの際に、向附と左右の前盛の菓子3点の組み合わせで供する様式。例えば画像中央下の「春霞」は向附に桜の羊羹、右前盛に水をかたどった練切、左前盛に藤の花の羊羹を配することで、銘を表現するといった具合。日常とは少し離れたハレやケの場で、和菓子がいかに重用されていたのかが分かります。
それももはや遠い昔のお話し。かつてはどんなに小さな駅でも駅前商店街に1軒はあった和菓子屋が姿を消したいま、和菓子の意匠の本を求める人とはさて、どこに?
 
今週はもう1点。少女趣味的という点で小店らしからぬ大正時代~昭和初期木版刷の絵封筒です。アール・ヌーヴォーやアール・デコ、或いは夢二風のデザインが目をひくイラストの中には「TOS」のサインが刷り込まれたものがあり、これは小林かいち、高橋春佳などと同時代に絵封筒で活躍した伊藤としをによるもの。 

10月の声が聞こえると、年明け1月4日(何と次回はお正月開催!)からの「銀座 古書の市」の目録作成に入ります。
これからしばらく、小店らしからぬ商品が入荷した場合は、こちらの目録用に慌てて用意したものである可能性大。
2019年もこの調子で矢のように過ぎて行きそうです。やれやれ。
 
■「表現の不自由展」のこれまでの経緯と文化庁の決定を見るにつけ、少なくとも文化・芸術の分野でつきあってくれるアーティストは国外に居なくなるだろうと思わせるに十分なものがあります。憲法によって権力の側が犯してはならないとされてきた「市民の言論の自由」は、これをもって閉ざされたものと考えます。市民の側が、進んで権力による言論の圧殺、検閲を望む先進国というのを私は他に知りません。
 https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_5d8c8f8ae4b0ac3cdda3c528?ncid=other_facebook_eucluwzme5k&utm_campaign=share_facebook&fbclid=IwAR3WdOAt4946d40kDCBfqnbRpcOodzFW-7Inywy4AAPcapT6gPZmfN-LNH0

法に照らして正しいか正しくないのかをジャッジする裁判所は、三権分立の原理が貫かれるべきところ、政権が長期にわたった結果、現在の最高裁判所の判事15名は全員、現首相の指名した裁判官に入れ替わったと云います。先日の東京電力の刑事訴訟のあの理解に苦しむ判決はどこから? 三権分立の原理原則は本当に守られているのか? 疑念ばかりが頭に浮かびます。
https://djosaru.exblog.jp/239400854/?fbclid=IwAR38-F2wTaCp40qOHXvPpLv8d7Sh7_YyPPfrAxeDyfJOcHCPderPaI0IkN4

この国でいま通用するのは法でも理でも知恵でも知識でもなく、問題の本質から目をそらし、ただたた情緒に流れ人のあげ足をとり、相も変らぬ精神論をかざす、近代以前の野蛮なふるまい。ただそれだけ。
私はせめて、この人くらい、腹の中には怒りをもちながら、でもしかし芸のある文章によって笑い飛ばす、そんなヒトになりたいと思います。
https://djosaru.exblog.jp/239400854/?fbclid=IwAR38-F2wTaCp40qOHXvPpLv8d7Sh7_YyPPfrAxeDyfJOcHCPderPaI0IkN4 

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