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18/05/26 珍本『不思議の國のアリス』と 渡辺一夫旧蔵ガラス乾板と

■ここのところ週三日の営業に臨時営業時間変更が加わって、実質、お客様を迎え入れられる日が週2日という店としてはあるまじき状況が続ておりますが、申し訳ございません、来週も 6月2日(土)は開店時間が遅れることになりそうです。この日は小店所属の東京古書組合南部支部で年に一度の大市が開催されます。前日に続いて朝から昼過ぎまでは入札に集中して来ようと。
と云うわけで、6月2日(土)は開店時間を15時頃からとさせていただきます。どうかご了承下さい。5月29日(火)・31日(木)は変更なく12時より20時で営業いたします。
度々ご不便おかけし申し訳ございませんが、何卒よろしくお願いいたします。

さて。今週の新着品。なななんと ! こんなものがあったとは !!! と少々驚いたもの2点あり。世の中まだまだどんなものがあるのか分からない。
1点目は『不思議の國のアリス』。ルイス・キャロルによるあの「アリス」。のはずなのですが。7cm×6cmの豆本。しかも「パラマウント超特作お伽映画」の副題つき。加えて裏表紙には「26日より上映 本郷座 三〇セン均一」云々の宣伝入り。
ページを開くと絵本の体裁。「文」はフジウラ コウ、「画」はミナガワ アキラとあり、前者は詩人・作詞家の藤浦洸とあたりもつきますが、後者はこれまでのところ不明。表2は「オカシノクニノ ヂヨウオウサマ」と謳った「森永チヨコレート」の広告。対向ページから始まる本文29Pは見開き片面を文章、もう片面を絵にあてていて、なるほどこの文字数なら端折ればアリスもお目覚めか、と、思いきや「サア ミナサン コレカラガ イヨイヨ オモシロクナルノデスヨ」と云って唐突に終わり。
もうお分かりだと思いますが、これ、映画のためのプロモーション・ツールだったというわけです。つまり、「この続きはスクリーンで ! 」。 

パラマウント社がルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」を映画化したのは1903年、1915年、1933年とあり、当書は1898年生まれの藤浦洸の年齢から推量して1933(昭和8)年の作品の日本公開時のものと見られます。
この時代、映画は集客にそう苦労しなかったのか、週報を別にすると宣伝用のツールで面白いものは少ないように思います。こちら、極めて珍しい。「珍しい」と云う一点で比べると、1866年に本国で出版されたアリス初版本より珍しいのであります!(笑)
裏表紙の記載内容から、「本郷座」は封切館ではないだろうと思い念のためにGoogle先生に問い合わせたところ、明治初期より歌舞伎、新派、浪曲などで賑わった本郷座は関東大震災から暫くすると廃れ、この当時、松竹の映画館になっていたと云います。
むむ。待てよ。松竹の映画館? もし。万一。本郷座、「メトロポリス」でこんな冊子つくってたら … なんて考えただけで空恐ろしい。何しろこの『アリス』、絵本としては無名の人の絵で小さくて全然豪華じゃなくしかもて完結もしてないのになぜこんな値段になるの?という落札価格だったのでした。ご興味ある方は店頭で。もれなく店主の ぼやき がついてきます。

もう1点、「グラフィック集団」の珍しい仕事を見つけたので…と思うもただいますでに午前3時半をまわったところ。簡潔に済むものに急遽差し替え、画像は渡辺一夫の旧蔵品ガラス乾板。箱の表に貼り付けたペン書きが全て渡辺先生の自筆です。相当大切にされ、著書にも使ったガラス乾板9枚が大事に大事にしまわれています。 

■今週はこの他、ウィリアム・モリスのテキスタイルデザインを復刻生産した大型カタログ8冊、雑誌LIFEなどが入荷いたします。一旦片付いたはずの店ですが、またすぐに隙間が埋まっていきそうな…。

 

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