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18/01/15 キモノの染めの型紙に 無限にひろがる意匠を見る

■1日半遅れてしまったHPの更新。今週は染物の型紙の台帳(サンプル帖)3点が久しぶりに入荷しました。
1冊目は藍染の布を使った装丁で、表紙に『小松記』と記されたもの。小店が比較的新しいものしか扱っていないせいか(江戸末~明治が中心)、この手の台帳で布装のものは珍しいように思います。扉に木版多色刷の戯画を1葉綴じ込むなど、大切にされていたのか、染め物でも上級品の型紙を集めたものだったのか、ちょっとした特別感が漂います。
見返しには「小川記」、それとは手跡の異なる「大阪 雍祐」「皇都染物町」の墨書きの他に「細工所 京蛸薬師室町西入 中文」という朱印があり、型紙メーカーが型紙の販売用のカタログといった体のものだった可能性がありそう。また、わざわざ「皇都~」と書かれていることか、幕末~明治初期に流通していたものと見てよいのではないかと思われます。
全体に、比較的図案意匠が大きく、明るく派手目のデザインが多いのが特徴。
本体は18×23.5cm、厚さ3.8cmの和本仕立てに6×4.8cmの紙サンプルの切り貼りで「壱番」から「四百弐拾弐」まで(1点欠のため441点)を収めたもの。表紙はさておき本文全頁状態良く、それだけに1点の欠けが惜しまれます。また、行ったり来たり頁を繰ってもじいっーと考えても、何故『小松記』とされているのかは謎のまま。いやもしかしたら『小松記』ではないのでは? 等々、こちらは偏に店主の力不足に所以いたします。


■『小松記』(?)と比べると細工の細かさと意匠の渋さが際立つ『当世新形』。こちらは後見返しに旧蔵者に関する情報が墨書きされているのですが、3行の内、判読できたのは「染もの悉皆」「二條」の僅かに7文字ですが、おそらくは京都の悉皆やがもっていたものと見られます。
悉皆屋とは、「みなことごとく」を意味するその名の通り、キモノの面倒ならなんでも相談に応じる職業。いまでは洗い張りをする人のことを意味するケースが多いようですが、丸洗い、洗い張り、染み抜き、染め替え、仕立てなおし等々、キモノから派生するニーズに対してなら何でもこい、という方たち。染め替えなどを想定すると、この地味さ・渋さにも意味があるように思えます。
こちらも紙製のサンプルは6×4.8cmで、「壱番」から「以(二)百九拾九」まで、こちらは欠けなしの299点貼り込み。時代は1冊目と同じ頃のものと思われます。
型紙のデザインなのでデザインは反復を前提としているはずですが、果たしてこの図案は一体どのような法則をもつのか想像のつかない図案もあり、そのあたりも見どころ。細工が細かすぎてこの程度の大きさの画像では、点が潰れてしまってほとんど見えないくなってしまっております。悪しからず…。
ご興味ある方には詳細現物をご覧いただくとして、細かな点と細く短い線とで展開される意匠無限。あまりの多彩さにじいっと見ているとクラクラしてくるのでありました。 

■これまた表紙のタイトルが読めない (…「三号 四号 志かく」?) 3冊目。こちらはぐっと時代は新しそうで、全頁多色刷の図案はどこかヨーロッパのテキスタイル・デザインを思わせるものが多く、云ってしまえば「かわいい系」。
天の側、喉のあたりから弧を描いて広がる水シミが実に残念な1冊。スキャンしていいとこどりするのがお勧め。なんてことを古本屋は申しませんので、ご利用はお買い上げになったお客様のご随意に。
 
■例年なら今ごろ泡食ってる「銀座 古書の市」。一回パスした小店、今回は平穏至極。なのに。目録見ると気になるものが一杯で剣呑ではあります。第34回となる17日からの古書の市、詳細は松屋銀座のウェブサイトで是非ご確認下さい。
http://www.matsuya.com/m_ginza/event/details/20180117_kosho_8es.html
 
 

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