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17/12/02 カッサンドル風の南満州鉄道会社と マティスとピカソと川島理一郎

 ■12月が始まりました。もう12月だなんて。今年はちゃんと12ヵ月あったんだろーか?もしかして何か月か飛ばしちゃったんじゃないのだろーか? とか、どうしても疑いたくなるような速さで2017年が過ぎていくことになりそうです。
このページの更新も年内はあと2回になるのか3回いけるのか、なにしろまだ年末年始のスケジュールを決めかねており、さらに資料会、洋書会、明治古典会と大きな市場が今月中に3つ控えているなど、現段階では年内まだまだ読めておりません。
と云うわけで、年末年始のスケジュールについてはまた改めてお知らせすることとして、例によって例のごとく今週の新着品からのご案内です。

1点目は昭和10(1935)年版の『北鮮線案内』「南満州鉄道株式会社 北鮮鉄道管理局」が発行したパンフレットで東京、大阪、下関にあった満鉄鮮満案内所で配布されていたようです。
全面展開してひろげると54×38cmのビッグタイズ。表紙の側はフルカラー印刷で交通図(路線図)と観光地の写真を、裏面は細かな活字でびっしりと「北鮮鉄道線概要」を所収。「概要」には主要駅の地勢・産業、古跡・名所や名物の他、旅館やカフェーなどの情報が要を得て簡とばかりに並びんでいます。
北鮮鉄道管理局は大正14(1925)年より朝鮮総督府直営だった朝鮮総督府鉄道の事業の内、清津以北を昭和8年満鉄に委託した際に設置された組織で、満州事変以降活発化した日満間の移動を担い優秀列車も多数走らせていたもよう。
まるでカッサンドルを思わせる瀟洒な表紙のデザインは、組織としての勢い、或いは世界と伍していくのだという鉄道会社のプライドを表すものだったのかも知れません。
本来、ほぼ同時代のフランスのノールエクスプレスの雑誌と一緒に並べたかったのですが、こちらについてはできれば次回のご案内で。しばしお待ち下さい。


 ■画家・川島理一郎。パリのアカデミー・ジュリアンで学び、日本人として初めてサロン・ドートンヌに入選。ピカソ、レジェ、ザッキンなどと交友、藤田嗣治とは寝食を共にし、第一次世界大戦では赤十字の活動に参加。帰国時には資生堂で個展を開催、以後、資生堂嘱託としてパリ情報を伝えたり化粧品パッケージなどデザインの仕事を手掛けたり、国画会にも参加したり。昭和2(1927)年にはマチスを訪問。戦時中は陸軍嘱託として北支や南方に派遣。戦後は日本芸術院会員に …… と、さまざまな方面から接続されてもよさそうな要素をこれほどまでに持ちながら、何故か売れない川上理一郎。先週のインテリアのプレート集の比ではないくらいに売れない。市場では落札した途端に美術と自筆もので定評のある古本屋さんに「川島理一郎買ったのぉ !? 売れないよぉ!!!」と云われてしまうし。それは私も骨身に沁みて分かっております。み-んな売れないのが分かっている川島理一郎。買いました。この写真と原稿を見るとですね、入札したくもなるでしょうと云うのが今週の2点目。
昭和30(1955)年、川島理一郎が渡欧し、戦後初めて再会を果たしたマティスとピカソに関する随筆の自筆原稿(それぞれ200字×8枚)と、マティスが鋏をもって切り紙をしている写真2点、ピカソと川島が並んだ写真1枚。ピカソは気軽な様子でアトリエを案内すると「お前も60才なら椅子が必要だろうと」笑いながら椅子を勧めたと云い、マチスは切紙絵の話しになるとその場で紙を切って見せ、「これをお前にあげる」と云ってまるで遠方から来た孫にでも対するように手渡したと云います。1955年の原稿と写真には、第二次世界大戦をはさんで彼らの上に流れた時間と歴史とを感じさせて胸を打つものがあります。
落札品は実はマティスとピカソの原稿と写真だけでなく、以下に主なものを列挙していくと …… パリの風景スケッチ肉筆4点、中国風の庭園を描いた手彩色銅版画1点、「日本写真会々報」肉筆表紙1点、絵自筆原稿3点(「戦後のパリ」「パリの二千年祭」「パリの街頭(服飾)」各400字4枚~8枚)、「世界的日光」と題されたペン画(軸装)1点などなど。
売れてくれさえすればどう転んでも損はしないはずのこの一口。なのですがしかし動いてくれなければ話しは始まらないわけで。我が店の年末年始のスケジュールや、10月以来やっぱり続くことになってしまったワタクシごと同様、まったく全然先ゆきが読めないのでありました。まいったまいった。

 

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