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15/12/19 芸艸堂の『新美術海』と 茶箱掛紙 商標ラベル

 ■12月も半ばを過ぎ、今年もあと2週間ほどを残すばかりとなりました。年内、店の営業日は19日(土)、24日(木)26日(土)29日(火)の各日12時~20時となります。来週22日(火)については市場から戻り次第開店の予定で、おそらく夕方からの営業となろうかと存じます。大変申し訳ございませんが、22日ご来店の際にはお電話で在席をご確認の上でお越しいただければ幸甚に存じます。毎度ご面倒をおかけいたしますが、何卒よろしくお願い申し上げます。
22日は洋書会の歳末大市、25日は今年、その名称と日取りが完全に合致した明治古典会の「クリスマス大市」。例によって市場と金融機関各所とを半ば綱渡りのようにして駈けずりまわる師走です。(-“-)

さて、今週は真面目に新着品のご案内を。画像2点をアップした今週は、いずれも明治の木版ものです。画像1点目は木版刷りの優れた図案集の版元として夙にその名の知られる芸艸堂の図案専門月刊誌『美術海』。今年7月には小店も扱うことになった『新美術海』の先行誌です。
今回入荷したのは①巻36~巻40 、②巻41~巻45、③巻46~巻50、④巻51~巻55、⑤巻56~巻59という①から⑤の合本5冊雑誌単体としてみれば36巻から59巻までの24冊分と云うことになります。このうち③と④は各巻表紙も一緒に綴じられていますが、他の3冊は表紙欠け。がしかし、本文にあたる片面刷りの木版図案については全巻全頁揃っています。1冊あたりの図案収録数は20図。24冊なので現在手元で見られるのは480図
『美術海』はいまから119年前の明治29 (1896)年創刊、65巻を発行した後、明治35年には『新美術海』へとバトンが渡されました。今回入荷した24冊は、ほぼ後半の号になっているわけですが、先に『新美術海』を扱った際の印象からすると、こちらはずっと古典的な趣き。明治時代、どの程度のスピード感で時代が変わっていたのか、実際には全く分からないわけですが、この2つの専門雑誌に現れた意匠の異なりは、5~6年の間に見事に一新されたデザイン感覚を反映した
のではないかと思います。

 さて、この『美術海』ですが、こちらのサイト →  http://mag.japaaan.com/archives/24248 によれば、「スミソニアン・ライブラリーでとっても嬉しいデータが無料ダウンロードできることを知りました!」と紹介されています。そうです。タダです! ダダでダウンロード可!何も日月堂で買う必要なんざございません。そういえば、小店がかつて扱った『浮世絵文様』も「わぉ刺激的すぎ!江戸時 代の浮世絵に描かれた伝統文様が無料ダウンロード公開!」というタイトルで「アメリカのクラーク美術館(Sterling and Francine Clark Art Institute)が所蔵しているものをアメリカの団体であるインターネット・アーカイブが無償で公開しています」と無料ダウンロードのサイトを紹介し ている方がいらして、こちらにはわざわざ小店のリンクまで貼り付けられております。世はなべてタダの時代。日本人が「うわぁタダだってよいい時代だね え~」なんて喜んでいる間にも『浮世絵文様』も速攻で海の向こうのおそらくはコレクター氏のもとへと買われていきました。美術館・博物館に収蔵されたとい うことは、評価が定まったということ。つまり、評価が上がることはあっても下がることはまずない、ということですね。さて、ここで質問。無料ダウンロードできるのを喜ぶのと、無料ダウンロードの需要があるような商品そのもの(もちろん、デジタル画像と木版刷とでは、マチエールが絶対的に違います)を買うのと、どちらが賢いのでしょうか?さあ、みんなで考えよう!\(^o^)/

 *ちなみに。ミュージアム・ピースといったところであくまで複製品、しかも小店で扱える木版図案集クラスであれば、浮世絵初刷りなんかとは比べようもない 低価格、個人で十分買える範囲のお値段です。今年7月に入荷した『新美術海』は翌週にはシカゴとロンドンへと旅立ちました。『松竹座ニュース』と神原泰装 丁本はパリに、『南方戦線戦績視察写真帖』は香港に、草木染関係の書籍は4冊まとめてイタリアへ、『蒼ざめた童貞狂』はドイツへ、長谷川潔の版画が表紙を 飾る雑誌『仮面』はアメリカへ。日本は豊かだとか美しいだとか云うお人は一体何を見て云ってるのかさっぱり分かりしませんなあ。

■2点目も同じく木版もの。薄手の和紙に多色刷した1枚もので、輸出用の日本茶の茶箱に糊付けされて使われた商標と云われるものです。画像中、縦に反復図案が刷られているものは、封緘用ではないかと思います。明治期につくられたもので、浮世絵の職人たちが制作に関わったとも仄聞しますが、あくまで商用の消耗品と云うこともあってか、彫りも刷りも雑駁な印象。ですが、日本と中国を折衷したような図柄や色使い、版ズレの具合など、例えばエピナル版画など、19世紀西欧の大衆版画に通じるところもあって、これはこれで味わい深い、また、興味深い紙モノです。

オリンピックのエンブレムデザインを巡って、18日、外部有識者会議がその欺瞞の一端を発表しました。以前お知らせした平野敬子氏のブログではその間にも克明な記録を伝えてくれました。更新されたブログを読むたびに、本当に頭が下がります。最新の更新は「022 願い」です。例えば安保法制について、例えば辺野古について、せめて願い続けること、願い続けると伝え続けることを、しなければいけないなと思っています。

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