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15/10/24 昭和9年、ワシントン条約破棄通告前夜に-『海軍軍縮展記念写真帖』

■う。まずいゾまずいゾ目録の準備がすすんでないゾ品物だって揃ってんだかどうなんだか分からなくなッテきたゾと云うわけでゲンザイ優先すべき課題が山なしておりいまにも押しつぶされそうであります。つぶされる前に「ころっ。」とつぶれちゃう可能性もありこのページの更新も店に並べる商品も手を抜いていてよいわけがない断然ない! のではありますがしかたあるまい先ずは目録の構成決めるゾ。と云ういい訳にもならない理由により本日ご紹介する新着品はとにかく1点だけにさせていただきます。実は店には戦前のアサヒカメラや洋書絵本や何故か拓本といったものまで入ってきてたり入ってくることになっていたりするんですがそれも仕方あるまい全部あとまわし。といった次第で今週の新着品です。それにしてもこんな前段書いているのがそもそもムダだろ。ですって? そーですよね。ぽりぽり。
昭和9(1934)年、第二次ロンドン海軍軍縮会議を翌年に控えた予備交渉が不調に終わり、日本がワシントン条約破棄を通告することになりました。通告は12月。その直前の11月、一週間の会期で東京上野の松坂屋で開催された「海軍軍縮展」を記念し、主催者である海軍協会と後援した海軍省への謝意をこめ、松坂屋によってまとめられた写真帖がこれ-『海軍軍縮展記念写真帖』です。小店初見。一般的な刊行物ではなく、字義通りの記念品であり、条約破棄への賛意を表明するためにも、同年内または翌年早々までに製作、限られた関係者に配布したものではないかと推測します。
巻頭に曰く「不合理なる比率主義に基くゆがめられた軍縮条約を撤廃して、公正妥当なる方式の下に、他を侵かさず、他より脅かされざる我国軍縮の根本主張を普く民衆に認識せしめ(中略)ん目的をもって開催されたる海軍軍縮展は非常時局に於る国民の要求に能く適合し、会場は連日満員の盛況を呈しました。/これは偏に主催者後援者の御尽力に依るところであり、大衆への奉仕ヲ目的とする松坂屋にとつて此の上なき名誉と幸せとでありました。」
当品に収められている写真は55点で、全て印画紙。錨と旭日旗で飾られた建物外観から、レリーフの施された柱と柱の間に設置された巨大な1階正面装飾、軍縮会議での日本の主張や各国軍事力を示す展示パネル、ロンドン会議や支那事変のマネキンを使った再現、戦闘機や高角砲、水上偵察機などの参考展示品、宣伝ポスターまで。相当な手間とコストをかけていることがわかるのに加え、開会当日の雑踏や参考展示品をとりまく群衆写真から、少なくとも動員の点では成功した-松坂屋さん的に云うと 大衆への奉仕にかなった-催事だったであろうことがうかがえます。
この当時のことですから写真は全てモノクロ。最終頁のポケットに差し込まれた海軍協会編纂による「海軍軍縮とは!!!」という丸型二つ折16頁のパンフレットが、フルカラー印刷で色を添えています。このパンフレットを読むと、この展示が日本の軍縮会議脱退を正当化するためのものであり、予め国民の理解をとりつけておこうというプロパガンダだったことがよく分かるのですが、国際情勢の変化への対応と「国防安全感の確保」を何度も繰り返すあたり、約80年を経たいま、何の因果か先祖がえりしたような言葉ばかりよく聞かされるなと思うのは私だけでしょうか…???
というわけでさて、これから目録構成の見直しです。10月も下旬。夜が長くなりました。

 

 

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