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15/10/06 『新美術海』77年を経た重版7冊揃いと岡本吉衛門が心血をそそいだ限定150部『日本の絣』

■漸く今週の新着品のアップです。
画像は今年7月14日付けでご紹介した、明治末発行の多色木版刷の図案集『新美術海』を、昭和54年から55年にかけて元版に忠実な木版刷りで再現し、巻1から巻7までの7冊を販売したもの。再現という言葉を使ったのは、昭和版も明治版の版元と同じ芸艸堂が発行したものであり、戦災をも免れて京都の芸艸堂に残されていた明治版の版木を使っていることによります。復刻とかリプリントとか云うのとも異なり、明治35(1902)年の元版発行スタート以来、遥か77年を経て出来した重版、とでも云うべきものです。
7月に入荷したのは元版4冊でしたが、今回入荷した昭和版は布装の専用帙と保護箱に収められた全7冊の完揃い全冊和本・木版装で、1巻から6巻まではそれぞれ50丁100図を、7巻は60丁120図を所収。従って、全部で720点にものぼる図案を、木版多色刷で再現したことになります。昭和54年と云えばいまから36年前。それなりに時間は経っているとはいえ、当時でもすでに、この点数は相当な力技だったはず。販売当時の定価が27万だったというのも充分納得できると云うものです。
7月14日の更新の際に書いたことの繰り返しになりますが、この『新美術海』、監修を神坂雪佳が、編者を雪佳の信頼厚かった弟子の古谷紅麟が務めています。今回初めて7冊を通して見ることができたのですが、とくにウィーン分離派=セセッションの影響を感じさせる図案が多いのが印象的です。ヨーロッパのアートの尖端と日本の図案界 …… 一見、遥か遠くに隔たっていたかに見える両者が、一体どのようなメディアを通じて共時的に繋がっていたのでしょうか。欧州美術界の潮流を咀嚼し、日本の図案に取り入れアレンジした力量も、一朝一夕で成ったものとは思えません。
海外での評価が先行する雪佳とその弟子・紅麟の仕事。日本国内での知名度も、もう少し広がってくれても良いと思うですが、号令だけの浅薄な愛国の時代、当面海外流出が続いたとしても仕方のないことでありましょうか。


2点目は、染色家で民芸運動家、日本各地を歩き、調査活動にも注力したことで知られる岡村吉衛門の著書『日本の絣』。昭和48(1973)年に限定150部が発行された当書は、岡村が各地で収集した絣の絣の布現物を貼り込んだ2冊と解説1冊の3冊から成るもの。専用の帙に収められています。
岡村は、絣が日本に入る際の経由地となった沖縄の絣にこだわっており、解説ではまるまる1章を沖縄と沖縄諸島にあてている他、「貼付小註」で沖縄の絣技法が日本に入ってからの変化の過程を実物で示したいという希望が「なかなか果たされないことも身に沁みた」と苦労を吐露しています。
また、「古い技法の裂が非常に少な」いのだと云い、高度経済成長期も末期、古い時代の痕跡が生活の場からほとんど失われていたことを伺わせます。
岡村の文章は至って淡々としたものですが、それでも、歴史を知る者として、それをよりよいかたちで伝えることができないことに対する無念がにじみ、収集された布見本に込められた思いの深さを思わずにはいられません。
 

■この他、洋書絵本の復刻版・オズボーンコレクション、1950~1970年代頃の切手コレクションファイル30冊などが入荷、これから値付けに入ります。
 

何だか最近恥ずかしいことを恥ずかしいと思わない人が多いようで。例えば図書館をめぐって。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151004-00000013-it_nlab-sci
世界各国が自らの問題として考えている難民問題について日本でのひとつの表現をめぐって。
https://mobile.twitter.com/tkatsumi06j/status/650625715239415808?s=09
何しろ国家としてのトップが海外の記者の質問に難民と移民との区別もちちかないような答えを語る国ですから。ああ今日もニッポンの恥はかき捨て……。

 

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